「男のロマンは、女の不満」 副理事長 河合昇
主はアブラムに言われた。「あなたは 生まれ故郷 父の家を離れて 私が示す地に行きなさい。」
創世記十二:一(新共同訳)
盛夏の七月下旬、「アブラムの宿」で開催された「岐阜・生と死を考える会」の一泊修養会に「なかよし村」の二人の姉妹と、監査役の長谷さんの運転で参加しました。猛暑のなか東海北陸道を走り、目的地近くの宇津江四十八滝温泉で入浴して、夕食三十分前に無事到着しました。
宿主の大郷博夫妻の出迎えを受け、他の参加者六名と合流、スタッフの方達がアブラム農園で採れたお米やブルーベリーのデザートなどで準備してくださった、美味しくて楽しい夕食と交わりの時を持ちました。
この宿を立ち上げたのは、元立教大学チャプレンの大郷博夫妻です。お二人との出会いは、今から二九年前になります。「あぶらむの会」は創世記にある「アブラム」に由来、彼は安住の地を離れ「行く先知らずして」旅立ちました。
全てに対してあまりにも安定を求める今日、私たちは旅としての人生に臆病になり、旅に必要な能力を欠いているように思われます。
大郷師が聖公会の司祭を辞し、夫人と四人の幼い子供と飛騨の地に赴いたのは、四十歳の時でした。 町から土地を買い取り、山の斜面を開拓し、古い民家を移築して始められた宿は、1万8千坪のナラの林に囲まれて、雄大な自然のなかで私たちの疲れた心身を癒してくれます。そして大郷博師の語る言葉は、私たちに生きる力を与え、俗な言葉で言えば「男のロマン」を感じます。と共に、師を支えた夫人の言いえぬ不満、ご苦労に思いを馳せます。
今回は長い車中での楽しいお交わりと、宿での解放感と安らぎ、美しい星空を期待したのですが、残念、夜は曇り空でした。
ご夫妻とご準備くださったスタッフの方たちに主の祝福が豊かならんことを。

